文・谷内 悠 (東京大学大学院・人文社会系研究科)

 

 

超能力と幽霊を科学的に研究!?

 

イラスト・岡本詩子

(東京大学大学院・学際情報学府)

 

 現代にも、科学と科学じゃないもののあいだの、どっちつかずなもやっとした領域があります。
  例えば、科学は「超能力」や「幽霊」を調べることができるでしょうか? 超能力はあったらうれしいし、幽霊はいたら怖いし、なんだかドキドキしますよね。
  これは実は微妙なところです。超能力も幽霊も、今わかっている宇宙の法則に反した「絶対にあり得ない」ものではないけれど、科学的には研究しにくいものだからです。
  科学では基本的に、「繰り返し、誰もが」同じように実験や観察をして、結果を確認できなければなりません。でも、超能力や幽霊はちょっとズルい。超能力者は調子が出ないときがありますし、幽霊が見えるのは限られた人だけですから。そういう科学者が実験や観察をしづらいものは、科学の対象になりにくいのです。
  それでも、例えば超能力を科学的に調べようと頑張っている「超心理学」という分野があります。日本にも研究をしている人たちの集まりがありますし、アメリカなどではごく一部ですが大学でも研究されています。
  とはいえ、超能力や幽霊が本当に科学的に調べられるのかどうかについては、まだ結論が出ていません。
  なので私は、今のところ、それらを真っ向から否定することはないと思っています。わからないことはちゃんとわからないと言う、というのも科学的な態度ですから。それに、やっぱりあったら、おもしろいですしね!


 

 

2012年8月5日号

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