文・谷内 悠 (東京大学大学院・人文社会系研究科)

 

 

代替医療は正統派になれるのか?

 

イラスト・岡本詩子

(東京大学大学院・学際情報学府)

 

 みなさん、風邪をひいて熱が出たり、けがをしたりしたら、病院へ行きますよね。私もしょっちゅうお世話になっています。
  たいていの病院では、病気やけがについて科学的に調べたり、対処したりします。例えば、血液や粘膜を調べてウイルスがいるかいないかを判断したり、必要な時は手術をしたり。
  そういう科学的な医療が、今の日本では「正統派」だと考えられています。
  でも実は、それ以外にもいろいろな治療法があります。漢方、鍼、灸、整体、アロマテラピーなどなど。これらは「代替医療」と呼ばれ、伝統的で自然な治療法として一部の人に好まれ、最近は科学的医療との併用も広がっています。
  ただ、残念ながら、それらの病気を治す仕組みの一部は、今の科学からすると納得がいかないものです。そのため、正統派ではないとされています。
  とはいえ、そういった仕組みは、今の科学では「まだ」わからないだけかもしれません。これから代替医療がどう扱われるようになるかは不確定なのです。医療の世界も、意外ともやっとしているのですね。
  ちなみに、今のところ眉つばな代替医療にも効果があるのは「プラシーボ効果」のためだ、と考えられています。例えばある薬が「すごく効きそう!」と思うと、偽物の薬だったとしても、ほんとうに効いてしまうことがあるのです。人間の「気持ち」の力ってすごいですね!


 

 

2012年8月12日号

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