文・谷内 悠 (東京大学大学院・人文社会系研究科)

 

 

まさかフィクションがリアルに!?

 

イラスト・岡本詩子

(東京大学大学院・学際情報学府)

 

 前回SFに触れましたが、みなさんには、はまっているフィクション作品ってありますか? 漫画でも小説でも映画でもかまいません。漫画なら今は『ワンピース』が1番人気でしょうか。
  私はフィクション作品好きが高じて、今ではフィクションにかかわる研究をしています。
  フィクションというのは、もともとは「つくられたもの」という意味です。それってリアルなものとどう違うのでしょう? 現実と虚構は違うに決まってる、と思いますか? 実はその区別はなかなか難しいのです。
  例えば、バーチャルリアリティー。技術の発達によって、つくりもののバーチャルな世界は、現実にどんどん近づいています。近い将来、見た目、音、触った感じまで、私たちが生きているこの世界とまるで同じになるかもしれません。
  もしそうなったら、映画「マトリックス」みたいに、現実だと思っていたものが実はつくられたもの(フィクション)だった、なんてことが起こるのでしょうか? ちょっと不安になりますよね。
  私はこのようなリアリティーとフィクションの関係について、哲学の方面から考えています。さらに、これは今では科学技術と切り離せない問題なので、私がかつて理系だった頃の経験も生きています。
  現実ってなんだろう? 世界ってなんだろう? こういう魅力的なテーマについて、日々「みちくさ」しながら探索するのは楽しいですよ!

 

 

2012年9月16日号

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