文・谷内 悠 (東京大学大学院・人文社会系研究科)

 

 

完璧じゃないからおもしろい!

 

イラスト・岡本詩子

(東京大学大学院・学際情報学府)

 

これまで3カ月間、科学って実は結構もやっとしている、というお話をしてきました。昔は占いや錬金術と近かったり、現代でも超能力研究があったり、哲学やフィクションともかかわりが深かったり……。
  みなさんが学んでいる理科以上に、科学は広くて、複雑で、だからこそおもしろいものです。
  もうひとつ、科学は完璧じゃない、ということも重要です。
  「科学ってなんでもわかるんでしょ」と思っている人って、意外と多いですよね。例えば、地震や放射能のことについて。東日本大震災の時、科学者が誠実にわからないことをわからないと言うのに対し「もっとはっきりしろ! 科学者はなにをやってるんだ!」といった反応がありました。
  でも、今の科学ではまだわからないこともたくさんありますし、どんなに科学が発達しても実現できないことだってあります。科学を万能だと思いすぎるのは危険です。
  それに私たちが生きるうえで、科学はすべてではありません。たとえ科学がどんどん進んで、例えば生命のことが今よりずっとわかっても、生きていることの途方もない神秘に震える気持ちはなくならないでしょう。
  そして、そういう気持ちが科学の原動力になっていく。素敵じゃないですか?
  みなさんも、エネルギーが湧いてくるようなときめきを探して、時には「みちくさ」をしながら、大人になっていってくださいね!


 

 

2012年9月30日号

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