文・谷内 悠 (東京大学大学院・人文社会系研究科)

 

 

おっ!と信じてしまうメカニズム

 

イラスト・岡本詩子

(東京大学大学院・学際情報学府)

 

 現代では、ほとんどの人が科学をとても信頼していますよね。でも一方で、わりと科学的でないものも信じています。
  例えば、血液型や星座の性格占いって、読むととても当たっている気がしませんか? これは実は、誰にでも当てはまるような文章でも、「あなたの性格はこうです」と言われると、自分のことを言い当てられた!と感じてしまう、という傾向が人間にはあるからなんです。
  よく「O型は大ざっぱ」と言いますが、冷静に考えると、誰だってちょっとは大ざっぱですよね。
  こんな風に、私たちはしょっちゅう論理的でも科学的でもない思考に陥っています。
  他にも、電話をしようとしたら相手からかかってきた、なんて場合。こういうことがちょっとした奇跡みたいに感じられるのは、それが実際より低い確率でしか起こらないと思い込んでいるからです。
  もちろん、好きな人のことを考えている時に、その人からメールが来たら、うれしくて当たり前です。私だって、運命的!って思っちゃいます。
  でも、世の中にはそういう「信じてしまうメカニズム」を悪用する人もいます。
  だから、私たちにはだまされやすい傾向があることを知り、論理的で科学的な思考をきちんと身につける必要があると思います。
  そうしたからといって、占いの楽しさも恋のドキドキもなくなりませんから、安心して!

 

 

2012年9月23日号

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