文・大嶽晴佳 (東京大学大学院・新領域創成科学研究科)

 

 

高さのHz、強さのdB 合唱のコツは?

 

イラスト・岡本詩子

(東京大学大学院・学際情報学府)

 

  秋が深まってきたこの時期、私が思い出すのは「合唱コンクール」です。私はみんなで一つの音楽を作り上げるのが好きだったので、中3のとき指揮者を引き受けることにしました。しかし、これが予想以上に大変でした。なかなか一つの音楽にまとまらないのです。
 困った私は、音楽の先生にこれは騒音なのではないかと相談に行きました。先生からは、みんなの声の高さがばらばらなだけだというアドバイスをいただきました。
 音は空気の振動で1秒間に何回振動するかで高さが決まります。音の高さは、ヘルツ(Hz)で表します。例えば、1秒間に440回振動したら440ヘルツ、「ラ」の音になります。数ヘルツの変化で音の高さも変わるため、同時に違う高さの音を出すとまとまりがなく聞こえるのです。
 さらに、騒音とは非常に大きな音のことです。音の強さはデシベル(dB)で表し、場所と時間帯により何デジベル以上が騒音と決められています。
 工事現場や飛行機の離着陸の音は120デジベルです。また、飛行機のようにずっと続く音は、発生回数や時間帯を加味した加重等価平均感覚騒音レベルというものを使って表します。
 つまり、ヘルツに気をつける合唱は、デシベルに気をつける騒音とは全く違います。高さがそろえば素敵な合唱になります。みなさんも周りの声をよく聴いて高さを合わせ、美しいハーモニーを作ってください。


 

 

2012年11月4日号

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