文・梶原良介 (東京大学大学院 電気系工学専攻)

 

 

調べても、見てもわからない難しさ

 

イラスト・岡本詩子 (東京大学大学院・学際情報学府)

 

 中学生の時、私はロボットに熱中し、自分で様々なことを調べたり見に行ったりしていました。
 本や図鑑でどんなロボットが開発されているのかを見たり、博物館・科学館にロボットの展示を見に行ったりするのはもちろん、学校の授業でロボットについて調べたことを発表していました。そして、部活動で中学生向けのロボコンに出場するためにロボットを作りました。
 自分の力で初めて作ったロボットは市販のキットを少し改造したもので、ラジコンのように簡単に作れましたが、この体験がもの作りへの自信につながったのだと思います。
 部活動で作ったロボットは小さく簡単なものだったので1人で作っていましたが、大きなロボットの場合1人で作ることはほぼありません。主にロボットの見た目や作業する部分である構造を作る人、エネルギーや命令を伝達する部分である回路を作る人、ロボットの頭脳であるコンピュータープログラムを作る人の3つに分担します。
 ロボットを開発する大抵の人ならばこれら3つの基礎は知っています。なぜなら基礎を知っていないと他の部分との連携がうまくいかず、失敗してしまうことがあるからです。
 中学生の時の私はロボットを作ることが難しいとはあまり思っていませんでした。高専ロボコンに参加して初めてロボット作りの難しさがわかりました。熱中して調べていても、やはり実際にやってみることが重要だったのです。

 

2013年1月20日号

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